〜第4章 実行編4(四日目午前)〜

初心者車中泊旅

七番札所 〜 十一番札所

6月10日(月)ODO 7,000km 午前 曇り のち 晴れ

七番 十楽寺(じゅうらくじ)

ゆっくり朝食を摂り、七番札所十楽寺(じゅうらくじ)に向かったのは8寺半を回っていました。

雨は上がっています。

昨日最後にお参りした安楽寺と同じような竜宮城に似た山門をくぐります。

そして石段を登ります。

やれやれ・・・と登り切ると、また石段です。

この札所あたりから、吉野平野の平地に建つ平寺から山裾の傾斜地に建立される山寺の修行が始まるようです。たとえクルマで行けるところまで行ったとしても(ほぼどの札所にも駐車場はありますが)、クルマを停めてからさらに徒歩で登ることが多くなってきます。

昨日はほとんどが市中の平寺でしたので、雨の風情を楽しむ余裕がありましたが、今日はそんな余裕はありません。

今日もしまだ雨が続いていたら、本当にきつかったんだろうな・・・と後で思いました。

雨があがって、本当によかったです。

十楽寺は、本堂、大師堂、とは別に「治眼疾目救歳地蔵尊」というお社があります。この歳(63歳)になるまで8年の間、持病の眼病によって自動車の運転ができなかった自分には特別な場所です。

こうして自分で運転してここまで来られているのも、昨年末より少しだけ病状が回復し、“運転”が解禁されたことによってできています。

私はいつになくお賽銭を奮発し、「今の自分の病状に感謝」し、「今後も病状が悪化しないようにお願い」をし、結構長い時間合掌していた気がします。

結局、十楽寺を出発したのは9寺半をまわりました。

八番 熊谷寺(くまだにじ)

9時45分、八番札所 熊谷寺(くまだにじ)到着。急に空が青く晴れ渡り、陽も射してきました。

昨日とは打って変わって、“木漏れ日”の森の中、少し長い参道を歩きます。石段を登り切ると、質素な山門と比べてものすごく大きな中門が迎えます。仁王門と言うそうです。その先が本堂。

大師堂へお参りするためにはさらに石段を登ります。晴れ渡った青い空に白い雲。

石段を登る汗もだんだん気持ち良くなってきました。^^;)

九番 法輪寺(ほうりんじ)

徳島県は、北と南を山に囲まれ、そのまんなかに東西に長く吉野平野が伸びていて、その中央を一級河川「吉野川」が雄大に流れています。

九番法輪寺(ほうりんじ)は、吉野平野のど真ん中、だだっ広い田園にぽつんと慎ましやかに建っています。

石段はありません。^^;)

山門も本堂も大師堂もとても質素で、なんの色合いもありません。

山々を遠くに望み、青く晴れ渡った空に、聞こえるのは鳥のさえずりだけです。むちゃくちゃ長閑かで、静かです。ひとたび境内のベンチに座ってしまうと、永遠にそこに居たくなり、妙に眠たくなってしまいました。

十番 切幡寺(きりはたじ)

気を取り直して、吉野川(吉野平野)北側にある最後の札所 十番切幡寺(きりはたじ)に向かいます。

10時半くらいだったでしょうか。

この辺から、四国八十八箇所巡礼の険しさが、その片鱗を見せ始めます。

片側1車線の立派な県道を西へ走っていると、カーナビが「ここを右へ曲がれ!」と言います。

確かに「切幡寺→」の標識?というか看板?も出ています。

『ここ? ホントか?!』

と思いつつ、停車するぐらいまで減速し、ゆっくりハンドルを右へ切り、その路地に入ります。道の幅員は3mあるかないかで、両側に民家が迫り、低い軒が両方から突き出ています。車同士のすれ違いはまず無理で、少し背の高いクルマだと、突き出た軒に接触しそうです。たぶん古い寺下町の街区のままなのでしょう。ちょっと前までは、寺下商店街だったような風情もありました。

時速10kmから15kmくらいで、“歩きお遍路さん”に挨拶しながら抜かせていただき、進みます。

じきに寺下町の街区を抜けますが、そこから先も道は細いまま、幅員3mない林道が続き、山の中へ入っていきます。かなりの急勾配の細い坂道を登り切り、なんとか駐車場に着きました。対向車が来なかったことが幸いしましたが、時刻はすでに11時になっていました。

んで、また、クルマを下りてからも試練が続きます。山門まで数百段の石段! 頑張って一気に登り切り、一礼して山門をくぐると、また見上げるほど延々と続く石段! 

・・・

手水場(ちょうずば)と鐘楼に辿り着く頃、息は上がり、汗だくになっていました。

息を整え、本堂と大師堂へお参りし、ふと見ると大きな二重の塔(ここでは大塔と言うそうです)が見えます。

せっかくなので、そちらへのお参りしようと進むと、またしても石段! ・・・

塔が大きく高く見えたのは、塔自体が高いんじゃなくて、塔が高いところに建っていたからでした。^^;)

十一番 藤井寺(ふじいでら)

既述の通り、十番切幡寺までで、吉野平野“北側”の札所は終了です。これからは一路南下し、吉野平野を南北に横切ります。途中、鉄道の鉄橋でよく使われている工法(ワーレントラス形式というそうです)で作られた珍しい道路の鉄橋を渡ります。非常に鮮やかな水色をした印象深い長い鉄橋で、「あわおえおおはし」という名前の橋です。

これで、吉野川の南に広がる吉野川市に入ります。剣山を最高峰とする徳島県と高知県を隔てる四国山地 神山山系の北側山麓に十一番札所藤井寺(ふじいでら)はあります。江戸時代の焼失から再建されたままの姿をとどめるとても古い禅寺(臨済宗)です。

八十八ヶ所巡礼の札所のほとんどは真言宗ですが、たまにこのお寺のように別宗のところもあります。

一言で言えば、これまでで一番渋いお寺です。派手さや人工的に手入れされたお庭などの“しつらえ感”はありません。が、風情は抜群でした。こういう山寺は大好きです。

ふと見ると、「十二番札所焼山寺→」と書かれた古い看板と、車は通れない山道が、クルマを停めた駐車場とは反対方向に細く森の中へ消えていくのが見えました。昔のままの「歩きお遍路用の遍路道」もまだまだ残っていることがとても印象的でした。この道は別名「へんろころがし」と言って、あまりに険しく、進めなくなったり、遭難してしまう修行者も昔はいたそうで、この名がついたようです。

境内は山のなかにひっそりと佇み、本堂、大師堂、納経所、不動堂などコンパクトにまとまっているのでお参りはし易かったです。

ランチ 虎乃茶屋

さてもう正午です。「クルマお遍路」でも難関といわれる十二番札所焼山寺へ向かう前に食事をとることにしました。吉野川市の平地に降りたところで、ご飯屋さんをググりますと、虎乃茶屋というそこそこ評価の高いお店がありましたので、そこに入ってランチをとることにしました。

ここはなかなか渋い古民家的なお店で、お客さんも結構入っていました。自分は本日のランチ「唐揚げ甘酢あんかけ定食」(¥1,100)を頼んで、これが結構なボリュームでお腹いっぱいになりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました