クルマお遍路旅一回目 実行三日目 6月10日(月)午後のお話しです。
20話 記事全道程(Google My Maps)
この記事からわかること(要点)
- 「最初のへんろころがし」とされる焼山寺を含む、十二番から十五番までの札所参拝の様子を紹介。
- 山岳霊場である焼山寺の厳しさ、そしてその後に続く平地の里寺の優しさとの対比が印象的。
- 最後は「道の駅いたの」での車中泊でこの日の行程を締めくくる。
第十二番札所 焼山寺(しょうざんじ)
12番焼山寺 概要
宗派:真言宗高野山派 山号:摩盧山(まろざん) 院号:正寿院(しょうじゅいん)
アクセス
・カーナビ設定( 簡単 )
「12番焼山寺」で検索OK、電話番号OK。
・前札所からの道( 若干ハード:葛折り登坂30分以上 )
「11番藤井寺」から40km、ナビや標識に従えば迷わないが、標高900mまで登る。 🅿️は分りやすい。有料(500円〜700円)。
・🅿️からの境内アプローチ( ハード )
本堂まで徒歩10分程度ほぼすべて石段。最初から飛ばさずにゆっくり行きましょう。
お寺の種類
区分 | 市街区 | 田園区 | 海浜区 | 森林区 | 岩崖区 |
---|---|---|---|---|---|
平地寺 | |||||
傾斜地寺 | |||||
山岳寺 | ○ |
宿泊事情
・宿坊あり(期間限定で部屋数小のため要確認) ・付近にホテル民宿なし ・車中泊場所:徳島市(20km)か小松島市(15km)に出ないと無し。
12番焼山寺 雑記
これまでの札所は数kmずつ隣接していましたが、午前中最後の十一番藤井寺から次の十二番焼山寺(しょうざんじ)までは、いきなり40km山奥へ離れます。お寺は徳島県南西部の神山山系の山奥、標高約900mのところにあります。「最初のへんろころがし」と言われる所以です。
昼食を摂った長閑な吉野川市の平野部(Map 地点A)から、いきなりもの凄いつづら折りを40分ひたすら登ります。ただ道は比較的整備されていて走りやすいです。
午後2時、駐車場に到着です。そしてこの駐車場から、さらに徒歩での上り坂が続きます。
杉の巨木が道の両側に立ち並んでいます。
『一つ手前の藤井寺から森の奥に消えていた歩きお遍路さん用の“へんろころがし”の道とはどんな険しい道なのでしょう?・・・』
坂道の参道には、威圧感のある不動明王像があったり、珍しい涅槃の釈迦如来像があったり、趣がこれまでとは少し違います。標高が高く涼しいので、いっそう佇まいを凛とさせていました。





↑ はじめての本格的山岳信仰霊場”焼山寺”
やっと辿り着いた山門を一礼とともにくぐると、いやな予感どおり^^;)、また延々と続く石段がありました。
頂上到着、午後2時20分。
正面には左から大黒点堂、本堂、大師堂が横一列に隙間なく並んだ珍しい配置でした。
お参りをした後、杉の巨木を見上げながら、しばらく山の涼しさ味わい、もと来た道をゆっくり下ります。



↑ 山深く、里からは隔絶された雰囲気 苔むした手水場の水は山水掛け流しで澄み渡っている
駐車場に戻った時は、もう午後3時をまわっていたと思います。
一件の札所にこれだけの時間をかけたのは初めてでしたが、山岳信仰を絵に描いたような荘厳なお寺参りを堪能できて、とても清々しい気分でした。
第十三番札所 大日寺(だいにちじ)
13番大日寺 概要
宗派:真言宗大覚寺派 山号:大栗山(おおくりざん) 院号:花蔵院(けぞういん)
アクセス
・カーナビ設定( 簡単 )
「13番大日寺」で検索OK、電話番号OK。
・前札所からの道( 楽 )
「12番焼山寺」から30km、山を降りれば運転は楽。 🅿️は進行右手で、通り過ぎやすいので注意。無料。
・🅿️からの境内アプローチ( 楽 )
本堂まで徒歩2分。県道沿いに歩く。境内もフラットでコンパクト。
お寺の種類
区分 | 市街区 | 田園区 | 海浜区 | 森林区 | 岩崖区 |
---|---|---|---|---|---|
平地寺 | ○ | ||||
傾斜地寺 | |||||
山岳寺 |
宿泊事情
・宿坊あり(休館多し、要確認) ・付近にホテル/民宿なし ・車中泊場所なし。14番・15番を過ぎて市街地に出ないと、ホテル・民宿・車中泊場はすべて難しい。
13番大日寺 雑記
最初のへんろころがし焼山寺をあとにして、つづら折りを下り、少しは交通量のある県道に出ます。2車線のこの県道21号線を東に5分走ると、県道沿いに十三番札所大日寺(だいにちじ)があります。
焼山寺のお参りに想定以上の時間がかかってしまったため、すでに午後4時近くになっていました。・・なんと今日の午後はまだ札所2つ目です。
ま、こういうのも行き当たりばったりで、楽しい誤算です。
いつの間にか空には雲一つ無く晴れ渡り、西陽で陰となった本堂と西陽に照らされた大師堂が向かい合わせで建っています。高低差なくお堂が配置されたコンパクトな境内が妙に嬉しかったりします。歩きのお遍路さんたちも、これまでの険しい「へんろころがし」を無事に降りたところで、この小さな里寺が出迎えてくれたのなら、ほっとすることでしょう。


↑ 左:本堂は西陽の逆光で厳か 右:向かい合う大師堂は斜陽に照らされ眩しく浮かび上がる
それと、ここは日本特有の“神仏習合”が、なんだかわかりやすい場所でもありました。
県道を挟んで真向かいに「一の宮神社」という神社があり、もとはこの神社と大日寺は一緒の境内だったらしいのです。あとから真ん中に道を通した(今や立派な県道になっていますが、)ということです。しかも江戸時代に、もともとは一の宮神社のご本尊だった「十一面観音像」がこの大日寺の本尊として移設されたようなのです。
『神社とお寺が、ご本尊様さえ貸し借りする関係?』・・和合を尊ぶ日本の価値観の根本を垣間見た気がしました。



↑ 十三番大日寺の向かい側、県道を挟んで南側に広がる「一の宮神社」
第十四番札所 常楽寺(じょうらくじ)
14番常楽寺 概要
宗派:真言宗高野山派 山号:盛寿山(せいじゅざん) 院号:延命院(えんめいいん)
アクセス
・カーナビ設定( 簡単 )
「14番常楽寺」で検索OK、電話番号OK。
・前札所からの道( 楽 )
「13番大日寺」から3km、平地、ナビ・標識に従えば迷わない。 🅿️は”門下”の他に”納経 所横”、”大師堂横”、そして一番上の”本堂横”の合計4つあり、多少分りずらい。すべて無料。
・🅿️からの境内アプローチ( 楽 )
”門下”の🅿️からは本堂まで石段あり、徒歩4分。 ※一番下の”門下”以外はどの🅿️も利便性は変わらないが、”納経所横”の🅿️がもっとも便利か・・
お寺の種類
区分 | 市街区 | 田園区 | 海浜区 | 森林区 | 岩崖区 |
---|---|---|---|---|---|
平地寺 | |||||
傾斜地寺 | ○ | ||||
山岳寺 |
宿泊事情
・宿坊なし ・付近にホテル/民宿なし ・車中泊場所なし。15番・16番を過ぎて市街地に出ないとホテル・民宿・車中泊場はすべて難しい。
14番常楽寺 雑記
県道21号線を東へ3km、時間にして5分ほど走ると、次の十四番札所 常楽寺(じょうらくじ)です。だんだんと市街地に戻ってきているようです。
周りは住宅街なので、鐘楼には「定刻にお寺の方で撞きますので、参拝者はご遠慮ください!」という案内板が出ています。
実は今日の札所の中で、このお寺の境内がもっとも多くの人で賑わっていました。本堂も大師堂も複数の人で読経している声が聞こえます。どうもバスツアーで集団お遍路をしている方々のようでした。
この集団の後ろに着いてしまうと納経・御朱印に時間がかかることが予想できたので、本堂と大師堂をサクッとお参りし、ご納経と御朱印を先にさっさと頂きました。
この頃になると、さんや袋からローソクを出したり、線香を箱から3本だけ出し火を付けたり、立てたり、あげたり、・・・という一連の所作にも手慣れてきて、納め札に名前を書くのを忘れて慌てて書いたり、納め札そのものを忘れてクルマに取りに戻ったり、逆に、納め忘れて、本堂や大師堂に慌て引き返したりという無駄なヘマも無くなりました。
札所参拝の時間的要領も幾分はよくなってきたと思います。


↑ 自然石の多い常楽寺の境内 右:おそらくバスツアーの集団お遍路さんたち
すでに夕方の4時半ですが、次の十五番国分寺もここから1kmと離れていませんので、今日中に次の札所までは無理なく行くことができそうです。
第十五番札所 国分寺(こくぶんじ)
15番国分寺 概要
宗派:曹洞宗(禅宗) 山号:薬王山(やくおうざん) 院号:金色院(こんじきいん)
アクセス
・カーナビ設定( 簡単 )
「15番国分寺」で検索OK、電話番号OK。
・前札所からの道( 楽 )
「14番常楽寺」から1.3km、平地、ナビ・標識に従えば迷わない。 🅿️は山門横すぐ、分りやすい。無料。
・🅿️からの境内アプローチ( 楽 )
🅿️からは境内はすぐ。 境内もコンパクト、お参りしやすい。
お寺の種類
区分 | 市街区 | 田園区 | 海浜区 | 森林区 | 岩崖区 |
---|---|---|---|---|---|
平地寺 | ○ | ||||
傾斜地寺 | |||||
山岳寺 |
宿泊事情
・宿坊なし ・付近にホテル/民宿 若干あり ・車中泊場所なし。もっとも近くて「道の駅いたの」か・・
15番国分寺 雑記
陽はすでにかなり西に傾いていますが、晴れ渡った6月の陽射しは鋭く、明るく、空も真っ青です。質素な山門をくぐると正面に二層の立派な本堂が見えます。
時刻4時50分。誰もいません。
ここでは先に納経所へ向かい、ご納経・御朱印を納経帳にいただいてから、ゆっくりお参りをすることにしました。なにせ、5時には納経所は閉まってしまいますので・・・。^^;)
このお寺もできるだけ色合いを持たないように古い木造打ちっぱなしで、凛とした佇まいが夕日に映えて素敵でした。あとで読むと、十一番藤井寺と同じく禅寺(こちらは曹洞宗)でした。
色彩豊かにしつらえられることの多い真言宗のお寺もいいですが、厳とした禅宗寺にはまたどこか惹かれるものがあります。
納経所や寺事務所が閉まってからの静まりかえった境内で、ひとり本堂、大師堂をゆっくり巡りながら、その空気を味わいました。
奥には、岩の造形で有名な有料の庭園があり、すごく興味があったのですが、5時を過ぎてしまいましたので、ここの拝観は残念ながら諦めました。



↑ 札所はすべて真言宗というわけではない ここ国分寺も禅寺のひとつ
6月10日(月)巡礼二日目の宿泊
今日はこの第十五番札所を最後の参拝とします。二日間で吉野川流域の山裾をぐるっと反時計回りで回ってきた形になり、一番札所霊山寺のある板野市までは、ここからは10kmと離れていません。
なので、今夜は24時間OKの「道の駅いたの」で車中泊をすることに決めました。(Map 地点F)
今日、上流の「あわおえおおはし」で南に渡った吉野川を、今度はずっと下流にある「名田橋」で北に戻ります。
板野市に入る手前でコンビニに立ち寄り、食材や飲料を買い込み、ギリギリ暗くなる前に「道の駅いたの」に着くことが出来ました。
ここはそもそも出来て1年経つか経たないかの新しい「道の駅」ですから、設備がすべて新しく清潔でした。
特にトイレが広くて、洗面所を兼ねていて、歯磨きをするための(か?どうかは分かりませんが^^;)大きなベンチまで備わっています。ついでに、着替えをするためのプライベートドレッシングルームまでありました。
ここの難点は、せっかくここまで良く出来ているのに、お風呂やシャワールームが無く(でも足湯だけはありましたよ!)、近くに銭湯も無いことです。そしてメインのレストランである「恵食堂」が夕方6時で終わってしまっていたことですね。
「道の駅いたの」の駐車場にソリオを停めたところで、疲れが出て少し寝落ちしたかもしれません。気がついた時、あたりはもう薄暗くなってきていました。
クルマから降りてウロウロしてようやく、ここではもう食事も取れないし、風呂にも入れないことがわかって、少し焦りました。
ただ、今日は疲れていたこともあり、これからまたクルマを出して、夕食難民・お風呂難民になるのは願い下げでしたので、夕飯はコンビニ食で我慢して、プライベートドレッシングルームを拝借して汗だくになった今日の身体を濡れタオルで拭きました。これはこれで気持ちよかったです。
クルマにもどるとすぐ寝てしまったように記憶しています。




↑ 道の駅「いたの」はこれから先も何度もお世話になるベースキャンプ地 右:宿泊時の車中
発心二日目、十五番札所まで回って”車中泊”で終了です。
※全国ホテル宿泊予約 ↓
次回は、21話 徳島 国府町(十六番)〜小松島市(十九番) です。
サイト内別カテゴリーへのリンク
本記事(20話)は「車中泊旅記録カテゴリー」に属しています。他カテゴリーをご覧になりたい方は、以下をご参照ください。
・「車中泊クルマ探し」カテゴリー最初の記事 →
・「車中泊旅準備」カテゴリーはここから →
・「車中泊旅記録」カテゴリーは以下から →
>16話 クルマ遍路旅 -東名高速 西へ(実行初日)- (第一回区切り打ち遍路旅開始記事)
>30話 クルマ遍路旅 -高知市〜土佐市- (第二回区切り打ち遍路旅開始記事 )
>37話 クルマ遍路旅 -第三回区切り打ち開始- (第三回区切り打ち遍路旅開始記事)
・「車中泊旅レビュー」カテゴリーは →
>29話 クルマ遍路旅 -一回目のレビュー-(第一回区切り打ち遍路旅のレビュー)
>36話 クルマ遍路旅 -第一回第二回のまとめレビュー- (一回目二回目遍路旅のまとめレビュー)
>43話 クルマ遍路旅 第三回目のレビュー(最後の区切り打ち遍路旅のレビュー)
コメント