24話 クルマ遍路旅 -徳島 阿南市(二十二番)〜美波町(二十三番)〜高知東洋町へ-

車中泊旅記録
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クルマお遍路旅一回目 実行四日目 6月11日(火)午後、苦労した二十一番太龍寺参拝のあとのお話しをします。

24話 記事全道程(Google My Maps)

24話 記事全道程 - Google マイマップ
21番太龍寺から下山、22番23番札所と宿泊した民宿サウス・ショアーまでの道のり

この記事で分かること(要約)

四国遍路の第二十二番札所 平等寺と第二十三番札所 薬王寺の情報と巡礼体験、付近の車中泊を含む宿泊事情を紹介します。筆者が宿泊地として選んだ高知県東洋町の民宿「サウス・ショアー」や偶然入れた隠れ名店での夕食など、クルマ遍路旅のリアルな一日も記述しました。

第二十二番札所 平等寺(びょうどうじ)

手こずった二十一番札所 太龍寺から山道を車止めまで降り(Map 地点A)、次の二十二番平等寺(びょうどうじ)までは直線距離で14キロ。県道19号に出て15分ほど走ると、平等寺の広い駐車場はすぐにわかりました。(Map 地点B)

22番平等寺 基本情報

宗派:真言宗高野山派

山号:白水山(はくすいざん)

院号:医王院(いおういん)  

場所:Map 地点B

アクセス

・カーナビ設定( 簡単 )
「22番平等寺」or 電話番号 検索でOK

・前札所からの道( 楽 )
 「21番太龍寺 東参道登山口」からのくだり2kmは往路と同様細く険しい葛折りだが、県道「阿南小松島線」に出たあとは非常に走りやすい。 「東山道登山口」から22番平等寺まで14km。「鷲の里」からは19km。 ナビ/標識に従っていけば迷うことはない。 山門と道を挟んで🅿️は二ヶ所。  どちらも無料。

・🅿️からの境内アプローチ( 楽 )
 二ヶ所の🅿️から山門はすぐ。山門から大師堂・納経所まで少しの石段、本堂までは石段(2分)。

お寺の種類

区分市街区田園区海浜区森林区岩崖区
平地寺     
傾斜地寺 ○ 
山岳寺 

宿泊事情

・宿坊なし。

・付近にゲストハウス/民宿系が2,3軒あり(1〜2km)。

・車中泊場所はなし。

22番平等寺 雑記

駐車場にクルマを停めると、目の前に山門がありました。すでに神山山系(四国山脈の東端)からは降りてきていて、平野部に近いところです。ただお寺自体は、山麓の傾斜地に建てられているので、境内はかなりの高低差の中に本堂、大師堂、納経所、などが配置されています。

石段もたくさんありました。ただ、山門から見上げただけで、大体お寺の全体像が見渡せるところが、先ほどの山奥の札所である巨木の森の中の鶴林寺(二十番札所)太龍寺(二十一番札所)とは全く趣が異なっています。

山奥の難所が続いた後の札所は一息つけるお寺になっていたりします。鶴林寺太龍寺、二つ連続で第2の「遍路ころがし」と言われるような険しい山奥のお寺でしたので、多分このお寺は少し参拝も楽なのでしょう。

“お遍路の順路”には、すごく抑揚があり、起承転結があって、よくできているなぁ・・と思います。

実際、平等寺は山門から石段を登ったあとは、本堂も大師堂ともにすごくお参りしやすく、納経所にもすぐに行くことができました

納経と御朱印をいただいて、4時過ぎには平等寺の参拝を終えていました。

↑ 二十二番札所 平等寺  市街地の里寺ではないものの、緩やかな山裾に寄り掛かるように広がる境内

次の二十三番薬王寺までは、ちょっと離れて20キロ距離があります。徳島県最後の札所になりますが、今日最後に回れるお寺となりそうです。

そしてこの薬王寺を過ぎると、約80キロ先の高知県(土佐の国)室戸岬まで札所はありません。

二十二番平等寺を出発し、少し走ると再び国道55号線に出ます。

国道55号線は、これから先室戸岬を抜け高知市中心部の札所まで、延々と海沿いを走り続ける大事な基幹道です。四国八十八ヶ所巡礼の車お遍路道の中で最も長く海岸線を走る道になります。

第二十三番札所 薬王寺(やくおうじ)

23番薬王寺 基本情報

宗派:真言宗高野山派

山号:医王山(いおうざん)

院号:無量寿院(むりょうじゅいん)  

場所:Map 地点C

アクセス

・カーナビ設定( 簡単 )
「23番薬王寺」or 電話番号 検索でOK

・前札所からの道( 楽 )
 国道55号線に出て以降はほぼ一本道、ナビ/標識に従っていけば迷うことはない。 20km。 🅿️は国道55号線沿いの“手前左側”と山門を“通り過ぎた先右側”のは二ヶ所。 無料。

・🅿️からの境内アプローチ( 少しハード )
 🅿️から山門はすぐ。 納経所は山門の手前の国道沿い。  山門から大師堂・本堂までは少し長い石段が続く(徒歩5分)。 一番奥(高いお堂)の瑜祇塔まではさらに石段(還暦厄坂)を登る。

お寺の種類

区分市街区田園区海浜区森林区岩崖区
平地寺     
傾斜地寺 ○ 
山岳寺 

宿泊事情

・宿坊なし。

・付近(海部郡美波町)はホテル/旅館/ゲストハウス等比較的多い(1km程度)。

・車中泊場所は、「道の駅 日和佐」(1km)あり。

23番薬王寺 雑記

午後4時40分二十三番薬王寺(やくおうじ)の駐車場に到着しました。

短い石段の向こうに、すごく立派な山門がそびえています。先ほどの平等寺と少し似ています。しかし、市街地の平寺かと思いきやそこらじゅう石段だらけです。

町の裏山すべてが境内になっているような、とても広く、また高低差のあるお寺でした。

後で知りましたが、それもそのはずで、この徳島県最後の札所二十三番薬王寺は、保守本流“高野山真言宗”の四国別格本山(四国の真言宗総本山)であるとのことでした。

見ると幸いにも、国道に近い一番下の山門のすぐ右横に納経所があります。

参拝する前に先に御朱印をもらっても構わないのですが、何故かこの時は「お参りしてから最後に納経所に立ち寄り納経/御朱印をいただこう!」と決めました。5時までの残り時間は20分です。

意を決し山門の向こうの最初の石段を駆け上がります。

鐘楼での鐘撞きは今回省略し、女厄坂と言われる次の石段を上ると、その先に結構長い男厄坂という名の石段があります。これを登り切ると、そこが本堂です。

本堂奥の石段は還暦厄坂といいます。金剛杖と手すりを頼りに登り切りますと、そこには瑜祇塔(ゆぎとう)という真っ赤な大変立派な塔がそびえ立っています。これはまるで高野山の壇上伽藍 東塔そっくりです。そしてここがこの二十三番薬王寺境内の最深部(最高部)です。軽く一礼し、今登ってきた石段を少し急ぎ足で降ります。

本堂と大師堂を手順通りロウソクと線香に火を点けて捧げ手を合わせ、お参りは終了です。

厄坂ではない方の別の石段を駆け足気味に下って納経所に急ぎました。そして今日最後のご納経と御朱印をいただきます。

↑ 徳島最後の札所 二十三番 薬王寺  同じ山裾でもこちらは割と急傾斜地

駐車場に向かいつつ振り返ると、自分が立ち去って誰もいなくなった後も、しばらく納経所は開いていたように思います。”夕方5時に閉まる”と言ってもさほど厳密ではないのかもしれません。そして今日の札所の参拝はすべてこれで終わりです。

ここから宿探しです。昨晩が風呂無しの車中泊でしたので、今日はちゃんとした宿に泊まりたいなと思っていました。そして太龍寺での悪戦苦闘で服も汚れ、下着類などの洗濯物も溜まってきていましたので、まとめて洗濯もしたかったです。

二十三番薬王寺は、徳島の南、海部郡美波町の市中にあります。周りにはいくつかリーズナブルな宿泊所がありましたが、火曜日ということもあり営業していないところも多く、営業しているところは既に予約でいっぱいで何軒か振られました。

ここから高知に入るまでの国道55号線沿いには、はいくつかの観光地や港町があります。北から牟岐町(むぎまち)阿波海南(あわかいなん)海陽町(かいようちょう)という港町集落があり、高知県に入ってからすぐに東洋町(とうようちょう)という町があります。

北から順にホテルや民宿の当たりをつけていった結果、3度目ぐらいに電話した高知に入ってすぐの東洋町の「サウス・ショアー」という民宿が、今からでも素泊まりがOK。個室。ただし、お風呂とトイレは共同。お風呂は午後11時まで! で、1泊4400円。

とてもリーズナブルです。ここに予約を入れました。

そして一路 国道55号線を南下します。交通量は少ないです。宿泊場所が解決しましたので、洗濯と夕食は道の両側に注意して走りながら探すことにしました。

夕暮れの国道55号 四国東海岸線を疾走するのはとても気持ちが良かったです。“宿泊難民ではない安心感”は、ドライブをより気持ちの良いものにしてくれました。途中、まさに高知県に入る寸前に宍喰(ししくい)という観光地を通過しました。走った中では珍しく観光地化されています。

↑ 左は「ホテルリビエラ」、右は「道の駅宍喰温泉」  (Map 地点D)

民宿 サウス・ショアー

「民宿サウス・ショアー」到着6時半過ぎ。(Map 地点F)

この民宿は、目の前が生見海岸(いくみかいがん)通称「いくみサーフィンビーチ」という波乗りに適した地形の海岸縁りにあり、波乗りトリップの若い人たち向けのサーファー民宿のようです。

今の私のようなお遍路旅をしている“おじさん”にはちょっと“場違い”であったかもしれませんが、なんか懐かしくてこういう宿は嫌いではありません。

↑ 素敵なロケーションの民宿「サウス・ショアー」(Map 地点F)

結局この民宿には乾燥機付きのランドリーは無く、通ってきた国道55号線を海陽町のコインランドリーまで約10kmほど戻ることになりました。

来る途中、実は、非常に印象深い景色がありました。たぶん徳島県海陽町の一番南に位置しているところだと思いますが、切り立った海岸線を走る国道55号線の下にそれと並行するようにまるで運河のような細長い湾があり、その向こうには壁のようにそびえる細長く高い島(実は半島)が、運河と並行して続くのです。

↑ 変わった地形の那佐湾と那佐半島(Google Map)

那佐湾那佐半島です。

そして今、今度は少し暗くなった時間帯のその不思議な景色を右手に見ながらクルマを走らせています。

そしてこの景色が終わると、間も無く徳島県海陽町の港町に入ります。

7時10分過ぎ、徳島県海陽町の「新町(あらまち)」というコインランドリーにつきました。

最も大きなドラム式の洗濯乾燥機に溜まっていた洗濯物を全部放り込んで、洗濯+乾燥を開始します。

ふと見ると、「コインランドリー新町」の目の前に、白いのれんのかかった渋いお店があることに気づきました。吸い込まれるように暖簾をくぐってそのお店に入ります。

徳島 海陽町「ももや食堂」

海陽町「コインランドリー新町」と「ももや食堂」(Map 地点E)

実は(後で知りましたが、)ここは県外からも人がやってくる「ももや食堂」という、知る人ぞ知る隠れ名店でした。

ワタシが入ってカツオのタタキ定食を頼んで10分ぐらいしますと、お客さんが3人入ってきました。そのお客さんたちは高知から来たとのことで、そのお店には何度か来ている様子でした。店主のじいさんと話をしながら、一番奥のテーブルを陣取って談笑しています。

そして今度は地元の方と思われる二人の男性がカウンターへ。

なんだかんだで、あっという間にお店は混んできました。

不思議なものでお店に人が増えてくると、すべてのメニューが美味しそうに見えてきます。

実際、カツオのタタキ定食はとても美味かったです。副菜も美味く、量もあって満足感のある夕食を摂ることができました。

↑ 海陽町新町のコインランドリーとももや食堂

私が食事を終えたとき時刻はもう8時を回ってコインランドリーの洗濯乾燥も終わりました。

「ももや食堂」の中ではまだ人が歓談している声が聞こえます。

車を出して、また再び同じ国道55号線を高知県の方に戻ります。ここを走るのは3回目です。やがて三たび、あの那佐湾と那佐半島の風景を見ることになります。今度は漆黒の夜の暗闇の中に黒い影として浮かび出た壁のような半島と、その下に黒々と水を湛えた大河のような湾が見えたりして、より幻想的な景色になっています。時間帯によってまるで雰囲気の違う風景を見せてくれるこの不思議な地形と景観。妙に記憶に残ります。

夜の9時ぐらいだったでしょうか・・・チェックインした「民宿サウス・ショアー」の自分の部屋に戻りました。

ゆっくりとバスタブに浸かり、今日の出来事を回想します。

風呂から出ると10時を回っていました。潮風が気持ちよく、風呂からすぐに部屋には戻らずに、二階のテラスでしばらく夜風にあたりました。

↑ 民宿「サウス・ショアー」2階テラスからの夜の眺めと、泊まった部屋

3日目、長かった6月11日(火)はこうして終了です。

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次回は、25話 高知 室戸岬(二十四番)〜安芸市(二十七番) です。お楽しみに・・・

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  >13話 クルマ旅準備 -旅への準備開始-

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  >29話 クルマ遍路旅 -一回目のレビュー-第一回区切り打ち遍路旅のレビュー

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