43話 クルマ遍路旅 第三回目のレビュー

車中泊旅レビュー

いよいよ第三回目、そして完結となるクルマお遍路旅の振り返りです。今回は香川県「涅槃の道場」から本州・高野山と京都伏見までの旅を総まとめし、費用・移動手段・車中泊装備の実力、ちょっとした電装トラブルとその解決法まで詳細にレビューします。

この記事でわかること(要約)

・第三回クルマお遍路旅(四国〜高野山〜京都)全行程のレビュー

・巡礼データ、費用、車中泊スタイルなどの詳細分析

・第1〜3回遍路旅の比較と巡礼効率分析

・ソリオ車中泊仕様の実践レビュー(FFヒーター・その他の装備)

・三回目で初めて起きた電気系トラブルとその対処法

第三回目 クルマ遍路旅の行程レビュー

大まかな旅程

  • 日程:2024年11月22日〜30日(9日間)
  • 東京からフェリーで徳島へ上陸し、香川県大野原の66番札所・雲辺寺からスタート
  • 67番〜88番札所を4日間で巡拝し、四国全霊場参拝を結願し徳島へ戻る
  • 和歌山へフェリー移動し、一泊
  • 高野山・京都伏見(醍醐寺)へと本州での御礼参拝(満願成就)を実施
  • 最終日は名神〜東名高速で東京へ帰着

巡礼データと移動概要

  • 総日程:9日間
  • 四国巡礼期間:4日間
  • 参拝札所数:四国23ヶ所+本州2ヶ所
  • 総走行距離:1,064km(四国内は389km)
  • 移動手段:フェリー → 四国 → フェリー → 本州 → 自走

宿泊スタイルの内訳

  • フェリー泊 × 1
  • ホテル泊 × 2(善通寺、和歌山)
  • 車中泊 × 5(すべて無料の道の駅または高速道路上のSA/PAを使用)

クルマ遍路旅 第三回目の旅程詳細

第三回目の費用詳細

項目金額(円)
交通費ガス代¥14,520    フェリー¥29,810+¥11,200 = ¥41,010   ケーブルカー等¥4,600   高速代¥15,330 
合計 ¥75,460
宿泊費善通寺グランド¥6,100
和歌山スマイル¥6,900   
合計 ¥13,000
飲食費合計 ¥40,500(1日平均4,500円×9日)
参拝費四国通常参拝¥16,000
高野山¥2,000 + 醍醐寺¥1,200
合計 ¥19,200
観光・お土産合計 ¥9,800
総合計¥157,960

↑ 左:オーシャン東九フェリー(東京-徳島 片道)  右:南海フェリー(徳島-和歌山 片道)

三回分の旅 比較表(ダイジェスト)

項目第1回第2回第3回
総日数8日間10日間9日間
四国内正味距離600 km1,075 km389 km
参拝札所数発心/修行の道場(徳島/高知)30ヶ所修行/菩提の道場(高知/愛媛)35ヶ所涅槃の道場(香川)23ヶ所+本州2ヶ所(高野山・京都)
平均札所数/日7.5 寺5.8 寺7.3 寺
平均距離/札所間20 km31 km17 km
総費用¥154,300¥185,500¥157,960

↑ 第三回目はもっとも巡礼距離が短く、札所密度が高い旅となりました。

車中泊装備の使い勝手レビュー

旅の実行前にいくつか気になっている点(11話 クルマ探し -ソリオ車中泊仕様車ついに納車!- )をお話ししました。また、FFヒーターの本当の使い勝手や性能、バッテリーの消費量・・などについては、「季節的にすべての車中泊で使用することになる今回の3回目のクルマ遍路旅までは分からない!」という記述29話 クルマ遍路旅 一回目のレビューもしました。

そして今回、はじめて寒い季節に数多くの車中泊を経験しましたので、それらの点について以下にレポートしていきます。

ACコンセント二つだけで大丈夫? 問題

  • 使用構成:三又ACタップ+USBx3口タップで十分対応可
  • 常設機器:掃除機充電器/Bluetoothスピーカー(ACタップ)、各種ケーブル(USB変換タップ)
  • その他運用:PC、iPhone、ポケットWi-Fiは走行充電(DC給電)だけでも運用可能

▶︎上記の結果ですので、これまでの経験ではダイネット側のACコンセントが二つしかないことについての不便はまったくありませんでした。

左:ダイネットの二口のACコンセント(上は三叉タップ、下はUSBタップ)  右:運転席側のDCソケット(すべてUSB(ライトニング変換、USB typeC変換、AppleWatch充電器など)にて走行充電用にフル使用)

FFヒーターが結構うるさい! 問題

これは耳栓が大活躍でした。最近の耳栓にはいくつかの種類があり、大別すると、自在に変形するシリコン製のものと、脱着のしやすい人工ゴム製のものがあります。前者は「小さく丸めて耳に押し込むと、勝手に耳の穴の中で膨らみ密着する」ので遮音性が高いのですが、割と脱着が大変です。後者は、遮音性が前者に若干劣りますが(それでも密閉度はかなり高いですよ!)、取り外しがし易く、扱いは大変楽です。私は扱いの楽な後者をだいたい使用していました。

さらには、、、私は横を向き、枕に耳や側頭部を押し付けて眠る時間が長い方なので、外側に出たリングが薄くて柔らかいタイプのものが快適でした。

↑ 耳栓各種  自分は外部リングの柔らかい一番右のタイプのものを使用

▶︎FFヒーターの騒音自体は軽減していませんので根本的解決とは言えませんが、実は耳栓は外部の騒音(例えばトラックのアイドリングや激しい風雨)への対策としても有効なことがよく分かりました。

ルーフソーラーパネルはこのまま付けないで大丈夫? 問題

私のソリオの場合、冷蔵庫、電子レンジ、エアコンなど電力消費の大きい車載家電を積んでいません。ですのでこのままの電装でも工夫さえすれば、・長くテレビを見たり音楽を聴いたり、照明やサーキュレータを付けっぱなしにできること。そして・結果的にはルーフソーラーパネルによる発電/蓄電も不要であること。が判断できました。

エンジンを切りダイネット側の15インチTVを視聴する場合、カーナビシステムの全機能を作動せざるを得ず、車体埋め込み型のJBLの6つのスピーカシステムもフル稼働状態に入り、1時間あたり55Wの電力消費をしてしまいます。これが、ソリオの家電の中で最も単位時間の電力消費が大きいものです。この状態はポータブルバッテリーを5〜6時間で消費し切ってしまい、一晩保ちません。

↑ 左:車載TVを車載JBLスピーカシステムで視聴している状態  右:消費電力は55W/h に達し、 一晩もたない・・(エコフロー アプリ画面キャプチャ)

これの対策としては、

・テレビ視聴については、車載モニター+JBLでの視聴は最小限(一日2時間まで・・など)にし、PCやスマホで、TVerやNHK+などのネット時間差配信を視聴する。

・音楽鑑賞(あるいはTV音声を少し豊かにしたい!)だけであれば、独立したBluetoothスピーカーを鳴らす。

ということが、効果的であることが判りました。

そこそこ良い音なのにほぼ電力消費の無いBluetoothスピーカ(左)、これと照明とサーキュレータを同時に点けていても”7W/h 消費中”を示すエコフローアプリ画面(右)、 これなら一晩以上もちそう

そもそも、、、クルマを停車させた後に家電を使用する以上、時間帯は夜になります。であれば、ポータブルバッテリーの残量が無くなってきたからと言って、自然光で発電するソーラーパネルによる”追い充電”はもうできません。逆に明るい時間帯であれば、大体走っているので走行充電ができます。つまり、結果的にこれまでのわたしの旅スタイルでは、ソーラーパネルはもともと不要だったみたいです。

(※ ただし、明るい時間帯から終日オートキャンプ場などに長期滞在するような車中泊旅をする場合には、今のポータブルバッテリーでは、キャパが小さすぎることもよく分かりました。もっと大きな容量のバッテリーに換えるか、置き型でも(車のルーフに取り付けなくても)いいので”ソーラーパネル”はあった方がより安心ではありますね。・・・)

さらには、、、PCやスマホは走行中に充電さえしておけば、夜半にポータブルバッテリーの電気を消費することはない・・ですし、また普通に市販されているBluetoothスピーカであれば、バッテリーからの給電で鳴らし続けてもてもほとんど電力を消費しない・・こともわかってきました。

そしてもう一つ旅を重ねて初めて分かったことは、TV地上波の入りにくい海岸線や山間部でも携帯の電波(5G,4G)が入るところは比較的多くあってそういった場所でWiFiさえ作動すれば、ネット経由で高画質の地上波TVコンテンツを鑑賞することができるということです。

サブバッテリーの残量が不明(残量計のつけ忘れ)! 問題

結論 → サブバッテリー専用の残量計をあらためて設置する必要な無し!

そもそもこのバッテリーはFFヒーター専用なので消費が限定的である上に、一定の電力残量を下回ると、車のメインバッテリーから自動給電されるリスクヘッジの仕組みがあるようです。(※詳細は29話 クルマ遍路旅 一回目のレビュー に記述しましたので、こちらをご覧ください。)

この第三回目クルマ遍路旅は、初めての寒い季節でしたので長時間にわたる一晩中使用を何度もしました。しかし結局メイン/サブ・バッテリーの電圧低下やアラートは一回も発生せず、無用な心配をしていたことが判りました。

↑ Volt1がメインバッテリー Volt2がサブバッテリー 長時間のFFヒーターの使用でも、両バッテリーともに電圧の低下は見られず、一度もアラートが点灯することはなかった。

リアテーブルのガタとアジャスト方法がわからない! 問題

  • 納車すぐにビルダーMARINA RVのサテライトである(横浜スーパークラフト)に確認して、「つまみ付きハンドルネジを一旦緩め、レールに固定した上で締め直す」という方法で、自力でアジャストさせることに成功。
  • この三回目の旅すべてを通して、ガタや緩みが再発したことはなく安定運用中

テーブルの下を覗けば、「4つのハンドルネジを緩め、両側のサイドレールにきっちりと噛み合わせたあと締め直す」ことで”緩み”や”ガタ”が直せることはすぐにわかる・・・

今回3回目で初めて発現したトラブル

以下二つの問題が発生しましたが、旅の途中でディーラー日産ピーズフィールドクラフトとやりとりして、ほぼ解決しました。

停電(給電ストップ)? 問題

症状:長時間ポータブルバッテリーだけで車内給電し続けた場合、バッテリーの電気残量が十分に残っている場合でも、すべての給電がストップして車内が停電状態に陥る現象が起こること。(車中泊中の再現率70%程度)

原因:「近年の新しい乗用車は、停車しエンジンを切って暫く(数時間)すると、車内すべての電気回路を自動的に遮断して、不要な漏電の発生や精密電子機器の誤作動を防ぐセキュリティ装置が作動する場合がある。」これが原因かも・・とのこと。

対策:「一旦エンジンを掛けるか、ACCに入れる。」ことで、確かにポータブルバッテリーの給電が再び全車に巡りました。

FFヒーターで車内が暑くなりすぎる? 問題

症状:FFヒーターを長時間使用していると、「サーモスタットによる室温制御の効きが悪くなり」“設定温度”自体を下げていかないと、車内が暑くなり過ぎる現象が起こること。(寒い日の車中泊中の再現率90%)

原因:「車内温度の感音センサーの設置場所が低いのかも??」とのこと。つまり、「停車させて間もない時間では、車内の空気も混ざり合っていて車内温度も均等でため、サーモスタットの設定温度通りにヒーターのON/OFFが適切に行われる。しかし時間が経つにつれ、車内上部には温暖空気が集まり、逆に低いところには冷気が集まるため、車内の温度は均等でない状況に至る。低い位置に設定されている感温センサーは低温を拾いやすくなるため、必然的にヒーターONの時間が長くなり、室内全体の温度を必要以上に上げてしまうのではないか。」とのこと。

対策:「寒い日の車中泊は、サーモスタットの設定温度もできるだけ低く抑えめにする。か・・、夜中に起きてもし暑かったら、その時設定温度を下げる!」という使用上の(運用上の)工夫で対応することにしました。

根本的な解決はクルマを工場に出して「感温センサーを高い位置に設置し直す」ことなのでしょうが、作業も大袈裟で無駄な配線も増えてしまうので、あまりやりたくはありませんからね。(笑)

まとめ

第三回目のクルマ遍路旅は、四国香川県での結願+高野山+京都という巡礼の完成形といえる構成でした。

  • 装備の成熟度:ソリオの車中泊仕様は、実用面でほぼ完成の域に行けたと思われます。
  • 費用バランス:車中泊の活用で総費用を抑えつつ、無理なく巡礼できたと思われます。
  • 精神的満足:本州での御礼参り(満願成就)含め、締めにふさわしい体験だったと思います。

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  >16話 クルマ遍路旅 -東名高速 西へ(実行初日)- 第一回区切り打ち遍路旅開始記事)

  >30話 クルマ遍路旅 -高知市〜土佐市- 第二回区切り打ち遍路旅開始記事 )

  >37話 クルマ遍路旅 -第三回区切り打ち開始- 第三回区切り打ち遍路旅開始記事)

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  >29話 クルマ遍路旅 -一回目のレビュー-第一回区切り打ち遍路旅のレビュー

  >36話 クルマ遍路旅 -第一回第二回のまとめレビュー- 一回目二回目遍路旅のまとめレビュー

  >43話 クルマ遍路旅 第三回目のレビュー(最後の区切り打ち遍路旅のレビュー)

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