44話 クルマ遍路旅 宇和島から久万高原(四十番〜四十五番札所)

車中泊旅記録

10月1日(火)  天気:晴れ時々曇り  出発時ODOメータ: 9,388km

44話 記事全道程(Google My Maps)

44話 記事全道程 - Google マイマップ
車中泊した「ゆらり内海」を出発、四十一番から四十五番までの札所行程と、この日車中泊した久万高原までの道程

この記事からわかること(記事の要約)

  • 宇和島から久万高原までのクルマ遍路旅の行程
  • 四十一番〜四十五番札所の雰囲気と参拝の様子
  • 完全神仏習合の龍光寺、天台宗の明石寺の特徴
  • 高地にある大寶寺・岩屋寺の参拝
  • 久万高原での車中泊と道の駅の利用体験

四十一番札所 龍光寺(りゅうこうじ)

7:00  愛媛県愛南町の「ゆらり内海」(Map 地点A)を出発。
国道56号線(この辺りは宿毛街道と呼ばれています)を宇和島に向けて北上します。
ここはお遍路旅スタートの地である徳島県板野からは、四国の対角線上もっとも離れた(距離にして700km〜800km)ところです。
今年3回に分けた“区切り打ちクルマ遍路旅”も、地理的にはこの辺りが「折り返し地点」になります。

(※もちろん札所番号的には、44番 大寶寺や45番 岩屋寺が本当の“折り返し”にあたります。)

「ゆらり内海」を出発して間もなく、鳥越トンネルをくぐり、「由良半島」の北側に出ます。
ここはまるで、京都府の伊根の舟屋のような多くの町家が海に突き出したようなおだやかな入江の風景が広がります。

同じ、入り組んでいる海岸線でも、荒々しい太平洋(土佐湾)側と内海(豊後水道)側では、ぜんぜん風情が違うんだなぁ』と感じました。
やがて国道56号線は、通称「宇和島道路」という無料の高速道路となり、宇和島市街をバイパスします。
そして間もなく、とても久しぶりに見るのどかな田園風景に変わりました。三間平野です。

三間平野に入ってすぐに龍光寺はありました。

7:50  四十一番札所 龍光寺駐車場到着。(Map 地点B)

石段を見あげると、なんと大きな鳥居が待ち構えています。
明治時代の神仏分離令以前は、お寺と神社が同一の境内も多く、神社の守護のために付随して設置されるお寺(=別当寺)として、神社に寄り添うように建立されていました。

この古き神仏混淆の佇まいが、ここ四国には至るところに色濃く残っているのです。
そしてここ三間稲荷明神とその別当寺であった龍光寺は、今も境内を一つにしているとのことでした。
山門の代わりの一つ目の鳥居をくぐると、次は石柱の代わりに両側に狛犬が迎えます。境内まで完全に一体となっているここまでの神仏習合はなかなか無いと思います。
しばし一番上の赤い鳥居と神社本殿(江戸時代までは、この一番高い所が龍光寺の本堂だったそうですが・・・)から、すぐ下の境内と、その下に広がる三間平野をながめました。長閑で心が落ち着きます。

↑ 三間平野の高台にある龍光寺  完全な神仏混淆  長閑で牧歌的

8:20  龍光寺 出発。

四十二番札所 仏木寺(ぶつもくじ)

四十二番仏木寺までは4kmと離れていません。同じ三間平野の北の山麓にあります。

8:30  四十二番礼所 仏木寺 到着。(Map 地点C)

やっと札所間が近くなりました。しかも、のどかな里寺が2つ続いています。“修行の道場「高知」”が終わり、“菩提の地「愛媛」”にやっと入らせてもらった感じがしました。
先程の「長閑な神仏混淆」から一変、こちらは勇壮な二層の仁王門が待ち構えていました。
山裾の傾斜地に建っているため、諸堂の向こうには山々と木々が迫り、独特な雰囲気を醸し出しています。とても渋く素敵なお寺でした。

四十二番仏木寺  立派な仁王門  深い緑の山を背にして独特の雰囲気

道の駅みま

9:00  朝食を摂るために「道の駅みま」寄りました。(Map 地点D)

ここ三間は大きな平野ではありませんが、四方をなだらかな山々に囲まれのんびりとのどかな田園が広がっていて、とても落ち着きます。「道の駅みま」はたった今営業を始めた所なのでしょう。お客さんはまだ居ません。
やはりここは“字和島”なのですね。見るとフードコードは「鯛めし」の文字が至る所に踊っています。しかし、鯛は・・・、昨晩の「ゆらり内海」でたらふく食べたので、今朝は、ぶっかけうどんだけで済ませました。

↑ 道の駅みま  まだまだ宇和島「鯛めし」の文字が踊る・・・

四十三番礼所 明石寺(めいせきじ)

9:40  「道の駅みま」を出発。18km離れた四十三番 明石寺へ向かいます。

10:00    四十三番 明石寺 駐車場到着です。(Map 地点E)

先程の四十二番仏木寺と同様、山裾の斜面に諸堂が寄りかかるように建っていました。久しぶりに色彩のないとても古そうな木材打ちっぱなしのお寺です。
聞くと、やはり天台宗のお寺でした。
空海さん(弘法大師)の「真言宗」と最澄さん(伝教大師)の「天台宗」は、言わば同時代のライバルです。まさか、四国八十八箇所霊場に天台宗のお寺があるとは知りませんでした。
でも四国霊場にいくつかある禅宗寺(曹洞宗、臨済宗、黄檗宗)は、すべて天台から派生した宗派ですから、その大元の天台のお寺が混ざっていてもおかしい話じゃないのかも知れません。

↑ 四十三番礼所 明石寺  色彩なし  渋いと思ったら「天台宗」寺院でした

四十四番札所 大寶寺(だいほうじ)

10:30  明石寺の駐車場に戻り、

次の大寶寺までの道のりを確認しながらナビをセットします。
距離はいきなり80kmも離れ、地図を見る限り、これまでの全ての札所より内陸部に位置しているように見えます。
次の四十四番礼所と四十五番礼所は、ほとんど隣合わせで、愛媛県の高地「久万高原」の上に並んでいます。

さて、ここが全八十八箇所霊場すべての本当の折り返しとなります。
大洲から高速道路を離れ、国道380号をひたすら登ります。交通量は56号線に比べるとガクッと落ちます。
本当にこれが国道か? と思わせる程くねくねと葛折りが続き、外気温がとんどん下がっていきます。標高は700m〜800mぐらいあるでしょうか? 葛折り国道を登り始めて1時間くらいですか・・・、登り切るとそこに「久万高原町」が広がります。

13:00  四十四番 大寶寺 駐車場到着。(Map 地点F)

懐かしささえ感じる久しぶりの山寺です。ご無沙汰の長い石段も・・、こうなると新鮮です。(笑)

こんもりした木々におおわれ、山岳信仰特有の雰囲気に包まれます。何よりも空気が涼しく、厳粛とした気分にさせてくれました。

↑ 四十四番中間折り返し最初の山岳札所 大寶寺  久万高原の上でとても涼しい

四十五番札所 岩屋寺(いわやじ)

13:40  大寶寺 駐車場を出発。

さらに6kmほど山を登ると、岩屋寺の駐車場があります。

14:00  四十五番 岩屋寺 駐車場に到着。(Map 地点G)

先程の大寶寺よりもさらに涼しくなった冷気の中、少し徒歩の登山がありました。
登山道はコンクリートで固められていて半分以上は石段なので歩き易かったですが、傾斜は想像以上にキツいです。
登りはじめて15分、勇壮な山門(山号は海岸山)をくぐります。さらに続く石段を登ります。

14:30  本堂に到着。

しかし、何やらさらに奥の岩場に長い梯子が立てかけられています。その岩場の上には、法華仙人堂というお堂があるようなのですが、そこにはこの長いハシゴでしか行けません。

筆者は思い切ってそのハシゴを登ってこのお堂まで行ってしまいましたが、ハシゴは降りる時の方がよっぽど怖いので、無理してこのお堂まで行くことはお勧めしません。(^_^;

岩屋寺は、岩盤むき出しのこの海岸山全体が境内です。すべてのお堂は、崖にへばり付くように建てられているか・・・、もしくは岩をくり抜いて(いわゆる岩窟して)できていたりします。このため慣れないと、目指すお堂がどこにあるのかたいへん分かりづらいです。上へ下へと振り回されながらなんとかほぼ全てのお堂をお参りし、納経所へたどり着きましたが、時刻は午後3時を過ぎました。
納経所で御朱印をいただき、もと来た山道の参道を下り駐車場に戻ります。

↑ 四十五番中間折り返し二つ目の山岳札所 岩屋寺   崖にへばり付く険しい山寺

15:30  岩屋寺駐車場出発。

八十八ヶ所の中間折り返し地点で且つ強烈な二連山寺ですから、それなりに覚悟はしていたのですが、四十四番、四十五番にこれほど時間がかかるとは思いませんでした。

やはりあっさりとは折り返せませんでした。歩きお遍路さんは、特にここは大変ですね。久万高原に登るのも降りるのもそれぞれ一日掛かりになるでしょう。お疲れ様です。クルマ遍路旅の筆者でも今日の午後の札所参りは、この2つで打ちきりです。
なので、今日はここ久万高原で車中泊することにしました。少し降りた久万高原町の街区に「道の駅」があったことを思い出し、早速向かいます。

↑ 四十五番岩屋寺から山道を戻る  まさに天空に広がる久万高原

道の駅「天空の郷さんさん」

今晩、松山市街に下りずに久万高原に留まりたかった理由の一つが涼しさです。10月に入ったとは言え、宇和島や三間平野など四国南部の海岸沿いはまだまだ暑く、エンジンを切った車内はすぐ30℃を超えていました。我がソリオは車載用エアコンを積んでいませんので、車中泊ではまだ寝苦しい季節なのです。

松山市街に降りてしまったらきっとまた暑いことが想定されましたので、ここにとどまることを決めたのです。
岩屋寺から下ること20分〜30分、道の駅は記憶通りありました。

16:00  道の駅「天空の郷さんさん」到着。(Map 地点H)

トイレも24時間であることを確認し、一安心です。
夕食のお店はゆっくり探して、焼肉とラーメンのセットが評判の焼肉「ちぐさ」に行きました。道の駅からも近くです。

↑ 焼肉「ちぐさ」 道の駅「天空の郷さんさん」からも近い

全八十八ヶ所の半分を折り返したこの日は、ここ道の駅「天空の郷さんさん」で車中泊です。

・・・

次回は 33話 クルマ遍路旅 -松山市(四十六番〜五十三番)〜今治へ- です。おたのしみに・・

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