〜 第4章 実行編11(六日目午後)〜

初心者車中泊旅

6月12日(水)午後 晴れ

二十八番札所 〜 三十番札所 高知自動車道南国SA

この頃東京から連絡があり、外せない用事が今週末の6月16日(日)に東京で予定されてしまいました。できれば前日の6月15日(土)には東京に帰っていたい状況となってしまったのです。

今回の第一回四国お遍路遠征には、まるまる2週間は空けていたつもりでしたが、現実の第一回目遠征は、行き帰りの道程を含めて、結局8日間の日程になってしまいました。それでも、前話にも書きましたが、一回目で参拝しておきたかった二十七番札所神峯寺(こうのみねじ)は既にまわっていますので、高知市街付近の札所を無理なく回れる範囲で巡ったのち、帰途に付くことにしました。

当初の計画でも、一回目で30ヶ所程度回れれば“恩の字”と思っていましたので、この辺でよしとします。

帰りは徳島港から東京 有明埠頭の間を運行している「オーシャン東九フェリー」に乗って帰ろうと考えていたので、少し調べてみると・・・、

徳島港出発は毎日午前11時30分、東京有明フェリーターミナル着は翌朝5時30分。18時間の航海。

になるようです。

15日(土)朝に東京に帰るためには、14日(金)の朝には、徳島港にいなければなりません。

まだ船の予約もしていませんし、本日の営業時間は終了していますので、全ては明日13日(木)になってから問い合わせをすることにします。

(※もちろんオーシャン東九フェリーは、Web予約を24時間受け付けています。)

『明日13日(木)は船の予約をしながら、高知自動車道を使って徳島市街まで戻ろう。』

『13日は徳島付近で宿泊し、翌14日(金)は、10時頃までにフェリーターミナルに着くことだけを考えよう。』

『・・・ってことは、お寺(札所)を回れるのは、今日12日(水)が最後か、、、。』

そう。今日は札所を回れる日としては最終日になります。

二十八番 大日寺(だいにちじ)

うどんの「いおき屋」をあとにして国道55号線は、安芸市(安芸の国)へ入ります。南国市や高知など、高知県の中心部はもうすぐそこです。

少し広くなった平野部を5分走ると、国道55号線は香南市の市街地に入ります。

そこで国道55号線から右手に離れ、山裾に向かいます。

二十八番札所 大日寺(だいにちじ)駐車場到着14時です。

(※大日寺という名前のお寺はこれで三つ目です。四番、十三番、と徳島県だけで二つありました。)

すぐそこが香南市街地ということにも関わらず、急に静かで緑豊かな渋い雰囲気になります。

山門は、打ちっぱなしの柱組みの上に大きな屋根をしつらえた質素ながらも重厚な作りで、柱の打ちっぱなしはこれまでには見たことがないものでした。石段を登った先の境内はとても綺麗に整備され、石畳の周りに敷き詰められた白っぽい砂利が6月の強い日差しに反射して眩しく輝いていました。

↑ 緑の参道を抜けると白く眩しい境内。綺麗なお寺だ。

14時30分、大日寺駐車場をあとにし、11キロ離れた二十九番札所国分寺(こくぶんじ)へ向かいます。

二十九番 国分寺(こくぶんじ)

物部川を渡り、南国市に入ります。

平野部の中央に近づいてきました。山並みは遠くに見える程度に後退します。

辺りは田んぼが広がり、のどかな田園風景に変わってきました。

午後3時、二十九番国分寺(こぶんじ)駐車場到着です。

↑ 広々した田園風景の真ん中にある”国分寺”

すぐに立派な山門(仁王門)があります。山門の向こうは、まっすぐ正面に本堂まで見渡せます。とても久しぶりの平野部に建てられた里寺です。鐘楼堂、本堂、大師堂、納経所、全て高低差はありません。

ただ、『何か見た目がこれまでのお寺と違うなぁ・・・』

と思っていたら、瓦で葺いた屋根は鐘楼堂だけで、あとは銅板葺きか・・、本堂にいたっては茅葺き(?)でした。これも、これまでの札所ではなかなか見ない珍しい造りだと思います。

本堂、大師堂、を参拝し、仁王門に戻るちょうど鐘楼堂を超えたところに左に向かうと小ぶりの中門があり、それをくぐって真っ直ぐ先に納経所があるのですが、その隣には「お寺カフェ」というカフェが併設されています。お抹茶セット(抹茶とお茶請けの和菓子のセット(500円))で心底ほっと一息つくことができました。

こうした少し観光化した設えは、お遍路さんでない方も受け入れるための市中の平寺特有で、山奥の「遍路ころがし系」札所にはほぼ見られません。^^; )

↑ 広い田園のなかのこんもりした緑の森が国分寺の境内

ここからいくつかの札所は街中の平寺だから、「少しは気を緩めて回ってもいいんだよ!」と言われているようでした。

15時45分、国分寺をあとにします。

三十番 善楽寺(ぜんらくじ)

国分寺を出て西へ向かいます。三十番善楽寺(ぜんらくじ)までは9キロぐらいです。

いよいよ高知市の市街地に入りました。交通量も増え、信号によっては、渋滞も発生しています。

16時15分、善楽寺到着。思った通り市中の平寺です。車を停め境内へ向かって歩き出しますと、見慣れた重々しい石柱の札所表札(赤文字で「一宮 百々山 善楽寺」の文字)の横に立て看板があり、遍路姿をした漫画の女の子が「→境内はこちら」と案内をしています。く

先ほどの二十九番国分寺の「お寺カフェ」といい、このアニメ風漫画の立て看板といい、これでもか!と緩ませてくれる市中の平寺の設えには脱帽ですが、、、

『ここまでポップにしちゃっていいんだろうか。…』と、

余計なお世話的な感想を持って看板を眺めていますと、

『あれっ! この漫画の女の子、杖カバーの下、、、鈴よりもさらに下を持ってるやんけ?!』

私はその漫画の女の子が、金剛杖の杖カバーの下の木の部分を握っていることに気づき、少し驚きました。

昨日、太龍寺の納経所で、寺事務所のお兄さんが言っていた通りなのです。いや、別に疑っていたわけではないのですが、まさかこんなところで、こんな形で、

「ほらねっ!」と、証拠を突きつけられるとは思っていませんでした。

『やっぱ・・・、あれは本当だったんだ。』

・・・

(※詳細は、「実行編8<太龍寺特別編>」を参照してください。」

↑ 高知市街の里寺”善楽寺”  正しい金剛杖の握り方(保護布の下を掴む)をしているアニメ風お遍路女子が描かれた看板

三十番善楽寺は想像以上にコンパクトで、高低差が無いお寺です。お参りのしやすさは、今日一でした。

山門と呼べるようなものはなく、境内に入ってすぐの手水場はアジサイの花であふれ、本堂も大師堂も小ぢんまりと建てられていて、余計な力が入っておらず、しかも手入れが行き届いていて、清潔で綺麗でした。

納経所でご納経と御朱印をもらって、16時半を過ぎました。

↑ 左:手水場には紫陽花の花が浮かび  右:こじんまりとした清楚な本堂

『さあ、第一回目はここまでだなぁ。』

この時わたしは、第一回四国遍路のクルマ旅は、この三十番札所 善楽寺をもって”結願”としました。

これから明日13日(木)、明後日14日(金)を使って帰途につき、15日(土)には東京に帰着していることを前提に帰りの旅程を考えます。

高知自動車道 南国サービスエリア

時計を見ると、まだ夕方5時になっていません。

『せっかく高知市街にいるんだから、「高知城」ぐらい見ておくか・・』

まだまだ明るい6月の夕方です。あとは東京に帰るだけになった身軽さで、高知城(高知公園)に向かって市中に車を流します。

しかし高知城は16時半で閉館、高知公園駐車場も17時半には閉まるということで、結局、この夕方の高知城観光は不発に終わってしまいました。

最後に慌てて市内観光を取って付けようとしても、時間が時間なのでこうなりますよね・・・、

仕方がありません。^^; )

なので、高知観光については深追いせず“次回のお楽しみ”ということして、高知自動車道を徳島方面に向かって乗りました。夕食も宿泊(今日は車中泊と決めています、、、)も、高速道路上の「南国サービスエリア」でとることにしました。

↑ 左:高知市街にある商店街「あたごまち」  右:南国SAとその場所(Google Map)

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