〜 第5章 第2弾実行編2 〜 9/28徳島港 〜 9/29午前 高知市街の札所(三十一番〜三十五番)

初心者車中泊旅

9月28日(土)曇り時々雨 ODO 8,881km (徳島港 〜 高知へ)

私はお遍路区切り打ちの第二回目(高知の三十一番札所 竹林時からのリスタート)を実行するために再び徳島港に降り立ちます。

昨晩(9月27日(金))、土砂降りの東京有明フェリーターミナルを定刻19時に出航したフェリー「しまんと」は、予定通り今日の13時20分には徳島港に着岸しました。

徳島港フェリー埠頭からほど近い徳島沖洲ICより徳島南自動車道に乗り、一路高知を目指します。

↑ 左上から:昨晩(9/27)出航前の有明ターミナル  フェリー「しまんと」の車両船倉フロア  船内の航路ディスプレイ   到着時ODOメータ   徳島沖洲IC

徳島道は交通量も少なく、順調に走ります。

『これなら2時間かからずに16時前には高知につけそうだ。』

『今日中に三十一番 竹林寺三十二番 禅師峰寺くらいは回れそうかな・・。』

と考えた途端、

「事故・工事 高知自動車道方面 通行止め」

の派手な電飾掲示板が目に飛び込みます。

14時過ぎに近くの阿波パーキングエリアに立ち寄って、通行止めの詳細を確認します。

それによると、幸い「川之江東JCT」から先の高知自動車道は走れるようでしたので、なんとか今日中に四国山脈を南へ抜けることはできそうです。

『でも・・・、札所は、今日は一つも回れないかなぁ・・・』

阿波PAで確認したとおり、パーキングエリアのすぐ先にある「脇町インターチェンジ」で高速を降ろされ、結局のところ徳島自動車道の半分以上の道のりを下の道で走らされることになりました。

このトラブルで、再び高速(高知自動車道)に乗れたのは16時ちょっと前ぐらいになっていました。

再び高速に乗ってからは順調に四国山脈のトンネル群を走り抜けることができ、17時には南国サービスエリア下り(あと数kmで高知市)に着きました。

とはいえもうこの時間ですので、やはり今日は札所の参拝は諦め、このままこのサービスエリアで車中泊をすることにします。

↑ 南国SA(下り)  夕食と夕暮れ  第二弾最初の車中泊車内の様子

9月29日(日)午前 曇り ODO 9,043km  (三十一番札所〜三十四番札所)

三十一番札所 竹林寺(ちくりんじ)

7時40分 竹林寺駐車場着。

竹林寺は、高知市の東側に広がる湾(高知湾?)の東側にある五台山の山頂にあります。

しかも、山全体が五台山公園として整備されていて、景色も素晴らしく、庭園としてもとても素敵で、ずっといたくなるようなところです。朱色に輝く五重の塔がひときわ目を引く、とても優雅で立派なお寺でした。

↑ 竹林寺は広々していて、とても優雅な庭園寺

三十二番札所 禅師峰寺(ぜんじぶじ)

竹林寺より車を走らせること20分、外海(土佐湾)の海岸線はもう目の前!という南国の雰囲気が漂う海沿いの集落にぽっこりと小高い丘があります。三十二番札所 禅師峰寺はその上でした。

8時30分 禅師峰寺 駐車場到着。

質素な一層の山門をくぐり、石段を少し登るとやはり質素な高床式の一層の本堂が出迎えます。

ひと通りのお参りを済ませ、納経と御朱印をいただき、ふと眺めると、太平洋が一望です。

右手奥の方には、かすかに桂浜らしき海岸線も望むことができます。標高は100mないと思いますが、大変景色の良いお寺でした。

↑ 海沿いの丘の上にある禅師峰寺  こじんまりしていて眺めも良い

桂浜観光

次の三十三番 雪蹊寺(せっけいじ)までの10kmのちょうど中間に坂本龍馬像で有名な「桂浜」があります。前回の第一回のお遍路の旅では、観光らしき観光は全くせず、余裕なく札所を巡ってしまった反省もあり、今回第二回目は少し心に余裕を持って、四国名所にも行ってみようという思いがありました。

9時10分、桂浜公園の広大な駐車場に到着です。

想像はしていましたが、こんなに観光地化しているとは驚きました。大きな駐車場に隣接して「桂浜UMI-NO TERRACE」というショッピングモールがあり、飲食店、お土産店などがずらりと並んでいます。

、再開発された比較的新しいモールのようです。ただ、まだ朝が早いため、営業しているお店はまばらでした。きっと昼間はずっと賑やかなことになるのでしょう。

そして、モール広場から小高い丘を登ったところに「坂本龍馬像」があります。

銅像は思っていたより全然大きくて、5mはある見上げる高さの石壇のさらに上に立っています。石壇の真下まで行ってしまうと、上を見上げるだけでは坂本像なのかどうかもわかりません。

知っているつもりでも、来てみないと実際のところはわからないものですね。

坂本像のある「龍頭岬」から南に向けて弓なりの綺麗な砂浜が広がります。砂浜の向こう側の端っこに「龍王岬」というところがありますが、そこまで砂浜を散歩しても遊歩道を歩いても行くことができます。浜の中ほどの内陸側には、「桂浜水族館」という水族館まであります。

↑ 駐車場の「案内看板」と「桂浜UMI-NO TERRACE」

今回「桂浜水族館」には入りませんでしたが・・・。

三十三番札所 雪蹊寺(せっけいじ)

三十三番 雪蹊寺 は、桂浜から内陸に約5キロ程度戻った場所にあります。

9時45分雪蹊寺到着。珍しい別宗(臨済宗)の里寺で、静かな住宅地の中に小さくひっそりと佇んでいました。

派手な山門などはなく、石柱二本の入口からは本堂/大師堂を含む境内が全て見通せます。とてもコンパクトで一息入れることができました。禅寺だけあって色彩は無く、毅然としています。

本当に札所なのだろうかと思われるほど小さく、とても地味に渋く佇んでいるお寺でした。手水場のそばにベンチ(いや、単なる腰掛のようなものです・・・)があり、腰を下ろすと、妙に落ち着いてしまいました。

↑ 雪蹊寺は八十八四国霊場にたまにある禅宗のお寺  ひっそりと清楚に佇んでいる。

三十四番 種間寺(たねまじ)

10時10分雪蹊寺を離れ、西に10キロ走ると高知市の市街地は終わり、豊かな田園風景が広がってきます。

そして10時25分、種間寺に着きました。

周りに建物のない抜けの良い里寺です。境内はさっきの雪蹊寺よりぜんぜん広いのですが、高低差が全くなく空が大きく開いているので、歩きやすく、気持ちの良いお寺でした。

↑ 高知市最後の札所「種間寺」 

初めてのクルマトラブル(三十五番 清瀧寺に向かう極狭林道)

お遍路は順打ちで回る場合、徳島(発心の地)からスタートし、高知(修行の地)、愛媛(菩提の地)、香川(涅槃の地)の四県88ヶ所の札所を巡ります。

今日、厳しい修行の地である高知からリスタートしましたが、三十一番から三十四番までは、里寺も多く、札所間がそれほど離れていなかったため、とても巡りやすく、順調にきているところでした。

しかしとうとう、この三十五番清瀧寺に向かう道で、今回最初のアクシデントに見舞われます。

種間寺からの距離は12キロから13キロと、さほど離れているわけではありませんでしたが、高知市街を離れての最初の本格的山寺でした。境内は仁王山という山のほぼ山頂にあり、国道56号から一歩山道に入ると、そこはこれまでで最も細く狭い九十九折りの林道になっています。

後で教えていただきましたが、この林道こそが悪名高い四国霊場最大の「クルマお遍路泣かせの道」だったのです。

とても狭くて、斜度もきつく、なんといっても待避所がありません。対向車が来たらどうするのだろうと不安を抱えながら進んでいると、やはり上から車が来ちゃいました。

対向車のドライバーは高齢の女性でしたが、運転は比較的慣れているようでした。私のソリオと対向車の二台は正面から向き合って止まり、相手の高齢女性と会話をします。

わたし:「そちらの方にも、待避所みたいなところはありませんでしたか?」

女性:「ええ、上はずっと狭いです。」

わたし:「下も同じですね。・・・ では、ここで頑張りましょう。」

「私が左に寄せながら下がりますので、何とかすり抜けてください。」

女性:「わかりました。すみません。合図をくださいませ。」

私はギアをR(バック)に入れ、左のサイドミラーを見ながらゴツゴツ突き出ている石や岩に当たらないように気をつけながら、目一杯に左に寄せて車を後退させます。

幸い左側に側溝などはなかったので、自分が右のサイドミラーさえ畳めば、右側をその対向車がすれ違えることができるだけのスペースをギリギリ確保することができました。

対向車の女性はお礼を言いながら、ゆっくりとソリオの右側をすり抜けていきます。

なんとかすれ違いには成功しました。

女性はお礼のクラクションを鳴らして、そのまま下へと降りていきます。

私はすれ違いができたことで少し気が緩んでしまい、自分の車の左下の死角に入っている状況を確認することを怠り、造作なく、ステアリングを右に切り、道の中央に戻ろうとしてしまいました。

ガリガリガリゴツン!

嫌な音が車内に響きます。

『うわ、やっちゃった?!』

運転している車が何か硬いものに接触するときの音は何度聞いてもぞっとします。

私は慌てて車を止め、外へ出て、何が起きたか確認しました。

『あ〜あ!・・・』

FRPでできたソリオの左サイドのスポイラーのちょうど助手席のドアの下辺りが見事に外れ、ぶらぶら浮いています。スポイラーの下側は、何かで激しく擦ったように樹脂繊維がザラザラ削られています。

そしてその少し後ろには、地面から20センチも突き出た岩がありました。岩の先には、ソリオのオレンジメタリック塗料が白っぽくこびり付いています。

私:『なんだよ・・・くそ! こりゃぁ、見えなかったなぁ・・・!』

悔しさがこみ上げてきています。嘆いても明らかに自分の確認怠慢です。

この狭い林道で対向車とすれ違ったことで、安心して魔がさしてしまったのでしょう。

『まぁ、やっちゃったことはしょうがないにせよ・・このぶらぶらしているサイドスポイラーを何とかしなきゃ・・・』

スポイラー自体はFRPでできていますが、ボディーに金属のフックが出ていて、それに引っ掛けて取り付けられている構造でした。フック自体には異常がなかったので、外れてしまった前方部分のスポイラーをフックに引っかけ戻せるか試してみました。スポイラーは全体の形も微妙に歪み、フックに掛けるスポイラー側のパーツは壊れかけています。歪んでしまったスポイラー自体を力任せに伸ばしながら引っ掛け直します。何度かの試行錯誤の末、一応全てのフックに外れた部分のスポイラーをはめ込み一応の応急処置ができました。

しかしこの状態では、走行の振動でいつまた外れてもおかしくありません。

『やれやれ、参ったな・・・。^^;….   札所のお参りが済んだら、近くのSUZUKIディーラーに行こう!』

いずれにしても、こんな細い林道で立ち往生している暇はありません。また、いつ対向車が来てしまうかわかりませんし、同方向の車が上ってきてしまう可能性もあります。

私は運急ぎ運転席に戻り、車を出します。

幸い、そのとき以降は対向車に出くわすこともなく、10分程度ぐらい登ったところで清瀧寺の駐車場に着きました。

↑ なんとか付け戻した左側のサイドスポイラー  遠目や真横からは目立たなくなったが、上から見るとパックリした隙間が覗く (※清瀧寺のあと、土佐市街地の駐車場で撮影)

三十五番札所 清瀧寺(きよたきじ)〜 レストラン「樹里(Juri)」

三十五番札所 清瀧寺(きよたきじ)

11時10分、三十五番札所 清瀧寺の駐車場へ到着。

駐車場は山門からさらに上に登ったところにあります。

先程の車のアクシデントもあってあまり元気がなかったので ^^;)、山門まで下って石段を登り戻すことは、ここではしませんでした。

札所の石柱のすぐ奥に、高さ15mの本尊「薬師如来」の立像がありました。たいへん立派です。

森が鬱蒼としているので、この立像は近づくまで見えません。近づいて初めて忽然と現れます。

山道の山側斜面には、光背を背負ったお地蔵さんの石像群があり、このお寺の幽幻な感じをより増幅させていました。境内は比較的平らで左に大師堂、右に本堂が並んで建立されており、着いてしまえばお参りは楽でした。

↑ 極狭林道の先にある山寺「清瀧寺」  高野山「金剛峯寺」奥の院を彷彿とさせる苔むした石像群

土佐市街 レストラン「樹里(Juri)」

車を擦ってしまったトラブルはあったものの、11時半には清瀧寺を出発。

次の三十六番青龍寺は、土佐市の市街地をまっすぐ南北に横切った先にある横浪半島の山の上にあります。

距離にして約15キロです。

そこでランチは土佐市街地を走っているうちに摂ろうと考え、見つけたレストランが樹里というお店でした。昭和の喫茶店風のリーズナブルな美味しいお店です。

12時レストラン樹里到着。

本当は、この土佐市街地でSUZUKIディーラーにも寄ったのですが、“お昼休み”ということで午後1時まで営業していませんでした。土佐市街を抜けてしまうとSUZUKIもしばらく無いことは容易に想像できましたが、仕方がありませんので、ここでは昼食だけにして先を急ぐことにしました。

↑ 左:レストラン樹里(スクショ)  右:オーダーした和風ハンバーグランチ

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